Ⅰ塩の製法と種類 11 平釜と立釜(真空式蒸発缶)

※クリックすると図が拡大します
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   日本における製塩は前述しましたように、まずは塩田を利用して鹹水(濃い海水)を作り、それを釜などで煮詰めて塩を析出させました。この海水を濃くする工程を採鹹(さいかん)、釜で煮詰めて塩を析出させる工程を煎熬(せんごう)と呼びます
   煎熬(せんごう)には土器、石釜、平釜(鉄釜)と利用してきましたが、現在は平釜と立釜(真空式蒸発缶)が主力です

   平釜は離島などの小規模生産の塩業者が利用している方法で、釜の構造上水蒸気が大気中に逃げるため、熱効率の悪い釜です。出来た塩の結晶形は凝集やフレ-ク状で、柔らかく、軽いフワッとした塩が出来ます
   立釜(真空式蒸発缶)は食塩並塩そして再製天日塩などを製造する時に利用する釜です。立釜(真空式蒸発缶)は熱効率が大変よく、環境に優しい釜です

    この立釜(真空式蒸発缶)の仕組みを分かり易く説明しましょう
   平地では気圧は1000hPa前後で、水は100℃で沸騰します。富士山の山頂では気圧も640hPaと低くなり、水は88℃で沸騰します。すなわち水は気圧が低くなれば(真空に近づくほど)、低い温度で沸騰する性質があるのです その性質を利用したのが立釜(真空式蒸発缶)です
   製塩工場には大きな密封缶(釜)を(直径5m、高さ20m)数個並べてやります。まず第一缶に濃海水を入れてやり、攪拌しながら片方から蒸気を入れて加熱していきます。蒸気は必然的に冷めますので、第二缶で利用するために、第二缶の真空度を第一缶より高めます
    先程の「気圧が低くなれば(真空に近づくほど)、低い温度で沸騰する」性質を利用するためです。第二缶の蒸気の温度が冷めていても、真空度が第一缶より高めてありますので、簡単に塩を製造出来るのです同様に第三缶、第四缶と熱を最後まで効率よく利用することが出来ます
  立釜(真空式蒸発缶)で出来る塩の結晶形は立方体ですが、釜に仕掛けをするといろいろな結晶形が出来るようです

   いろいろな料理のレシピには、小さじ1、 大さじ2 などと記載されています。しかし気をつけなければならないのは、かさ密度(体積あたりの質量のことで、詰め方によって値が違う)、水分量などによって、塩の効き方が全く違うことです。食塩小さじ1が、フレーク塩小さじ2~3に相当する製品もあります
   これは塩の味の特性ではなく、フレーク塩のようにかさ密度が小さくて水分が多い塩は、塩の効きが悪くなるのです