Ⅰ塩の製法と種類 7 いわゆる自然塩

a 立体式塩田(ネット式、枝条架式)

  離島のほとんどの塩メ-カ-は立体式塩田とか立体式塩田タワ-と呼んでいる海水濃縮装置を使います          
   流下式塩田で利用していた枝条架式の規模を大きく発展させたもので、この塩田の内部が竹や笹が張り巡らされている枝条架式、合成樹脂のネットのネット式があり、主に風の力を利用して濃い海水(鹹水)を作ります 
    この濃縮装置の内部には無数の竹や笹、またはネットが張り巡らされており、ポンプで海水をくみ上げてネットなどの上部からゆっくりと流してやります。海水はネットなどを伝いながらゆっくりと下へ下へと流れ落ちてゆき、風の力で水分が飛ばされて海水は濃縮されます(「液滴蒸発」)  
    この少し濃くなった海水をポンプで再びくみ上げて、ネットの上部・・・、この操作を何回も繰り返すと海水の六~七倍程度の鹹水になります。それを平釜で煮詰めて水分を蒸発させると塩が出来上がるのです

 

b 海水蒸発塩(燃料使用)

   海水蒸発塩は日本古来の塩田による製塩とは違い、濃い海水(鹹水)を作らないで、直接海水を平釜で煮詰めたものを自然塩メ-カ-は販売していました
    そのため莫大な化石燃料などが必要となります。理由は海水には約3%しか塩が含まれていないからです。残りの97%は水分ですので、時間をかけて海水を平釜などで煮詰めて海水蒸発塩を作るのです。この海水蒸発塩を1kg作るためには27000kcalのエネルギ-が必要で、家庭の電気料金に直すと680円以上かかるそうです(元ソルト・サイエンス研究財団の橋本専務より)
    この海水蒸発塩を料理に使うと「材料をいためなく、まろやかな料理が出来る」と信じている人が多く、大変人気があります

   しかし製塩コストが高いためなのか、「天日塩を沖縄の海水で溶かして重油で煮詰めた塩」を「沖縄の海水を薪で時間をかけて炊き上げた塩」として販売していた業者もいたのです。すなわ「再製天日塩を嘘で固めて、海水蒸発塩として販売していたのでした(優良誤認で警告を受けた)
  最近は逆浸透膜真空蒸発缶(立釜)などを使って、海水の水分を充分蒸発させ、最後の仕上げだけ平釜で煮詰めた手抜きでもある偽の海水蒸発塩も販売されています

 

c 逆浸透膜塩

*クリックすると図が拡大します
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   製塩において、逆浸透膜は濃い海水(鹹水)を作るために使用します。離島の製塩によく使われる膜で、原料の海水には海洋深層水(深層水)表層水(海水)の2種類あります。この膜を使った塩を逆浸透膜塩と呼ぶのが普通です
    海洋深層水は一般的には深度300m~600mで取水します。表層水(海水)と比べて「低水温」「清浄性」「富栄養」という三大特性があり、飲料水用に、また農業用途に海洋深層水が脚光を浴びています
  塩においてのミネラルカルシウムマグネシウムカリウムナトリウムがよく強調されます。原料となる海洋深層水も表層水(海水)も、これらのミネラル量はほとんど変わりません。ですから海洋深層水塩の優位性はなく、イメージ先行の塩だと言えそうです

   逆浸透膜塩の作り方を簡単に説明しましょう
   海洋深層水(または海水)」に逆浸透膜(圧力を利用)を利用しますと、脱塩淡水化した深層水(または水)と濃い塩水の二種類が出来ます
    その濃い塩水を真空式蒸発缶(立釜)や、平釜などで煮詰めてやると塩が結晶します。膜の性質から、深層水は海水中の環境汚染物質をはじめ不純物は取り除かれますが、塩の原料となる濃い塩水は取り除くことはできません、なぜなら塩の原料の海水はこの膜を通っていないからです