Ⅱ図と表で見る塩のミネラル 1塩のミネラル

d 市販の塩にはどれだけの苦汁(にがり)が含まれているか

※クリックすると図が拡大します
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   日本人ほどにがり入りの塩を珍重する民族はありません。そのためにがりが多い塩だと、無条件で受け入れる主婦も少なくありません

   明治時代の頃は入浜式塩田を利用して濃い塩水を作り、それを平釜などで煮詰めて塩を 析出させました。このとき早めに結晶して出来た塩を真塩(ましお)と呼び、にがりが垂れ落ちなくなるまでにがり抜きをして販売していました。それでも5%~10%のにがりが含まれていたようです
   更に煮詰めて出来た塩を差し塩(さしじお)と呼び、水分やにがりや不純物が多く含まれていましたので、塩の純度は60%~70%ほどだったと言われています
    この差し塩を倉庫などで1~2年放置した塩を古積塩(枯れた塩)と呼び、にがり分が少なく大変人気があったようです
   このように昔からにがりを塩から取り除く術の課題にさいなまれていたのです。質の悪いにがりや不純物を含む塩を料理に使うと、料理の味が落ちるのと下痢などをして優しくないからです。それを踏まえて国は、にがりを減らしてサラサラタイプの塩に食塩を改良していったとも言われています

   しかし食塩のにがり分をすっぺりと落としたために「生活習慣病の原因になる」とか「ミネラルの欠落した塩は私達の身体に大きな影響を与える恐れがある」とかいろいろな批判を受けています
   ところがヨ-ロッパやアメリカなどではにがりを珍重しませんので、例えば岩塩などは溶解して精製するのが当たり前で、このときにミネラル分を含むにがりをすっぺりと落とします。天日塩も同様で、フランス産やイタリア産の一部を除けば、塩ににがり分をほとんど残しません

   にがりとは学問的にCaCl2(塩化カルシウム)、MgCl2(塩化マグネシウム)、MgSO4(硫酸マグネシウム)、KCl(塩化カリウム)を指しています。前述しましたようにCaSO4(硫酸カルシウム)はにがり分ではなく、石膏を意味しているのです
   CaCl2(塩化カルシウム)は、イオン交換膜製塩に生じるにがりで、豆腐凝固剤、道路の融雪剤などに使います。 CaSO4(硫酸カルシウム)と違って、身体に吸収出来るカルシウム(Ca)を含んでいます
   MgCl2(塩化マグネシウム)は、豆腐の凝固剤、浣腸の原料、凍結防止剤などに使います
   MgSO4(硫酸マグネシウム)は、いわゆる自然塩、噴霧製塩、再製天日塩、輸入塩に含まれるにがりで、豆腐の凝固剤、便秘薬、浣腸の原料として使っています。多いと下痢し易くなりますが、「イオン交換膜塩」には含まれません
    KCl(塩化カリウム)は、減塩タイプの調味料に使用します

    にがり量について各製法を見てみますと、噴霧製塩がずば抜けて多く含まれています。いわゆる自然塩は、にがりが多い塩と言われていますが噴霧製塩から見れば霞んで見えます。また再製天日塩、輸入塩のにがり量は食塩、並塩と変わらないものがほとんどです