Ⅳ 塩雑学入門 3 専売とは

a 専売制と塩の自由化

   レストランやホテルの部屋にある冷蔵庫のビール清涼飲料水を飲み、請求書の金額を見てビックリしたことはありませんか。街角にある自販機で買ったときの五~十倍の値段が請求書に書かれている場合があります
    これはビールや清涼飲料水などには標準小売価格(メ-カ-希望価格)が設定されていますが、その設定された価格以上で販売しても、逆に賞味期限切れ寸前なので 販売価格を大幅に下げても法律的には何も問題は生じません

    しかしタバコは、コンビニで買っても、自販機で買っても、飲み屋で買っても値段は同じです。1984年にタバコの専売制が終了し、その後たばこ事業法が施行され、翌年専売公社日本たばこ産業株式会社として民営化されました
    タバコは専売制のときと同じように定価販売が義務づけられています。定価より安く売ったり、高く売ったりすると「たばこ事業法」違反となり、処罰の対象となります。タバコは日本のどこで買っても値段が同じ仕組みになっています(空港の免税店やアメリカ軍基地などは例外)
    この理由はタバコには高い税金がかけてあり、この税金をたばこ消費税といい国や県・市町村には年間あわせて二兆円以上の税収をもたらしているからです

    日本たばこ産業㈱の前身は日本専売公社で、その前は大蔵省専売局でした。日清戦争前には、政府の財政支出が膨らんだため、葉タバコ、タバコの製造・販売まで専売にして、さらに塩も日露戦争の戦費調達のために専売にしました。タバコは嗜好品ですが、塩は生活するためにどうしても必要な物資であると位置づけ、価格維持の必要性と塩産業保護のため、日清戦後も専売制を続けることを明治政府は決定したのです
    タバコのように税金を取るための専売を財政専売といい、財政に大きく寄与しています。しかし塩の専売は塩の需要と供給の安定、消費者保護と産業の保護のための専売制で、公益専売(行政専売)と呼びます。しかし1997年、90年間以上続いた塩の専売制が廃止され、その代わりに塩事業法が施行され、5年間の経過措置終了後、塩の販売・加工・製造・輸入が原則自由になりました

   でも塩の自由化は、はたして私たち消費者にとってはプラスとなったのでしょうか。塩の自由化前に新聞などでは、「塩価が下がり、いろいろな種類の塩が出回るようになり、用途に応じて選ぶことが出来るようになる」と報じていました
  塩の自由化後、確かに業務用塩の値段は大幅に下がりましたが、家庭用塩では食塩と比べて数倍どころか八十倍近い値段の塩も販売されています。またいろいろな塩が販売されるようになりましたので、用途に応じて塩を選択することが出来るようになったのです
    でも私たちには塩の知識が無いために、求める基準も手探り状態で、見た目、キャッチフレ-ズ、価格により買うすべしかありませんでした


   当然前述しましたように、塩の中には海水由来でないミネラル分が大量に含まれた塩、塩には欲しくない砒素カドミウムを多く含んだ塩、衛生的に問題がある塩も多く、価格に関係なく販売されています。塩の自由化によって、専売時に比べて塩の値段は高くなり、安全性も不透明になり、私たち消費者にとっては恩恵が全く無かったように思えてなりません・・・・・