Ⅳ 塩雑学入門 5自然塩と化学塩

C 自然塩のキャッチフレ-ズ

   塩の専売制の終焉時には、市場には自然塩自然海塩が氾濫していました。それらの塩は「血圧を下げる」「ミネラル豊富である」「天然ミネラルを数十種含有の自然塩」「身体に優しい」「ミネラルバランスに優れている」と、ミネラルの身体への有効性を謳っていたものです
   逆に国が販売していた塩の「食塩」を「化学塩」だと訴え「ミネラルが欠落している」と批判したのです。これらの「血圧を下げる」「ミネラルが豊富」などのキャッチフレ-ズは業界ぐるみの違法行為だったと言われており、実際消費者の多くは何に疑問を投じてよいかも分からずに、右往左往させられている状態でした

   また塩の製法でも「ガスバ-ナーで海水を煮詰めている」ものを「薪で海水を煮詰めている」と虚偽の製造情報を、消費者団体のホ-ムペ-ジに堂々と載せていた再製天日塩メ-カ-もあったくらいです
 普通はこれだけのキャッチフレ-ズなどがあれば、優良誤認表示として公正取引委員会も動かざるをえません。でも塩業界はつい最近までは治外法権だったのです

    皆さんご存じのように塩事業は明治時代から専売制が布かれており、大蔵省(財務省)の管轄です
    大蔵省専売局⇒ 日本専売公社⇒ JT⇒ 塩事業センタ-へと塩事業は引き継がれましたが、大蔵省(財務省)の存在はJT(塩事業センタ-)にとって常にピリピリしていました
    しかし自然塩の製造は許可制でしたので、常にJT(塩事業センタ- )は塩製造業者を監督・指導できる立場でもありました。消費者に不安を煽るような、また科学的根拠が伴っていない虚偽の情報についてJTは苦々しく思い、指導を考えていたそうです
   でもJTが指導を考えても、必ず大蔵省(財務省)がその指導にストップをかけたようです。そのストップの理由はいつも同じで「官が民を圧迫するのはよくない」の一言で、JTの指導はいつも実現しなかったと言われています

    本来食品の安全性については厚生労働省が「食品衛生法」で、品質などの表示については農林水産省が、パッケ-ジなどの表示については、「景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)」などで公正取引委員会などが目を光らせるべきでした
    しかし専売制下では予算を握っている財務省(大蔵省)に遠慮があったのか、前述の「自然塩」やミネラルについての表示などについては、これらの官庁の指導はほとんどありませんでした


   しかし専売が終わると、前述の表示やキャッチフレ-ズに多くの人が疑問にもつようになり、東京都消費者総合センタ-公正取引委員会、農林水産省などに相談・苦情・改善・指導などを要望したのでした
    「1日10g未満の塩の摂取でミネラル分を摂ろうとするとずれが出る。塩はミネラルを目的として摂取するものではない」と厚生労働省は発し、また「自然塩」「自然海塩」「ミネラルに関する表記」は好ましくないと公正取引委員会や東京都などが自然塩業者などに勧告したのです


    その結果業界も表示に対して180度姿勢を変えて「食用塩の公正競争規約」を作り、消費者に理解出来る正しい表示をすることを試み始めたのでした
    そのため現在では「自然塩」「自然海塩」「健康に良い」「ミネラル豊富」などをパッケ-ジに表示したりすることは出来ません。これらの科学的根拠のない用語などを使用すると消費者庁から優良誤認による警告措置命令などを受ける可能性があります

                                                                                                          6 紅白塩合戦

*図をクリックすると拡大します
*図をクリックすると拡大します