6 紅白塩合戦

   ここではに自然塩と称するメーカー同士の戦いとして有名な「天塩」と「伯方の塩」の品質の戦いである「紅白塩合戦」のお話をしましょう(一部は「塩屋さんが書いた本」を参照しています

   オーストラリアやメキシコの塩田で、太陽と風の力だけで作られた自然な塩を天日塩と呼びます。塩が専売であったときは専売公社(JT)がこの天日塩を、ソーダ工業用や食用として一括輸入していましたが、現在では商社が輸入しています
    その天日塩を海水や井戸水などで溶かし精製して、煮詰め直している塩として代表的なものに天塩、伯方の塩、沖縄の塩シママースあらしおなどがあります
    塩田で結晶した天日塩には4.2%ほどのにがり分を含んでいます。しかし天日塩には石膏不溶解分である泥、土、砂、サビ、微生物の死骸など、また質の悪いにがりを含んでいるために、現地でそれらを海水で洗い落とす作業をします
   そして日本において井戸水や海水などで溶解・精製するので、にがり分が0.2%あまりになってしまいます。ですからメーカーによってはにがりを添加した塩もあるのです


  専売制末期の頃、再製天日塩メーカーの大手である㈱天塩と、伯方塩業㈱との間に塩の品質に関する論争が起きました
   伯方塩業は、流下式塩田で作られた塩はにがり分が適度にあった白い塩であったので「自然塩は白く、にがりが適度に含まれた塩である」と主張していました
    しかし天塩は中国産の塩田にがりを添加したために、赤く着色した塩でした
    この赤く着色した塩が自然塩として私達に認知されていましたので、一部の消費者には伯方の塩は漂白した塩だと思われていたようです。伯方塩業は私達の自然塩の間違った思いこみを解き放つために、天塩の分析検査を利用することにしたのです

  天塩は添加物である化学性の中国産にがりを添加した塩でしたので自然塩とは言えない」と非難したのです。また天塩の赤色は鉄さびや土や泥の色で、塩の品質に大きく影響を及ぼしているとも主張しました
  この主張を伯方塩業株式会社のパンフレットに「天塩から採取した着色物は鉄、泥である」と記載して配布したのです
   株式会社天塩は「不当な誹謗中傷である」と公正取引委員会に申し立てをしました。これを受けて公正取引委員会が調査に乗り出したわけですが、これがいわゆる赤白すなわち紅白塩合戦と言い、塩の業界で生活している者なら誰でもが知っていた有名な塩戦争です

(天塩は現在、消費者団体などから指摘を受け、中国産のにがりからメキシコ産にがりに転換)

   伯方塩業は「天塩はにがり添加と赤色が特徴の自然塩として売っているのに、健康自然食品業界の商品情報には『食品添加物なし』と記載しているのは矛盾している」とも指摘しました。そして当時の「天塩」の発売元の「自然塩普及協会」は「実は株式会社であり、自然塩を普及するための非営利団体ではなく、消費団体や自然塩運動を味方に付けるための、カムフラージュである」とも指摘したのです
   JAROすなわち日本広告審査機構は「株式会社を略すと非営利団体のような誤認を与えるので、(株)を明確に付けること」と注意勧告をしたのでした

  この「紅白塩合戦」の決着は未だについてないようです。専売制の終わり頃までは天塩は中国産のにがりのため赤く染まっていたため、中国の田舎娘みたいに紅の濃い化粧と揶揄されていました
   伯方塩業に指摘されたあとは薄化粧になったとも言われています。その後密かにメキシコ産のにがりに替えたため、塩の色がうっすらと黒い色をしているために、メキシコ娘になったと言われています(メキシコ産の塩は、薄く黒く着色しているのが特徴だからです。現在はほとんど白い)
   でも伯方塩業は何故このような行動にでたのでしょうか。伯方塩業は「食べ物に秘密があってはいけないので、消費者に正しい判断をするための資料を公開しているだけだ」と主張しています

                                                                                               7 自然塩信仰のススメ