2.「たん白加水分解物」、「酵母エキス」とは

   今回はたん白加水分解物酵母エキスついてお話しましょう

   いろいろな食品に使うたん白加水分解物を「天然のうまみ調味料」と表現する人もいます。これは大豆や魚などを原料としているからです。食品添加物のグルタミン酸Naを食品に使用すると昆布の旨味だけしか強調出来ませんので、かつおの旨味のイノシン酸Naなどを併用するのが一般的です。それに比べると食品扱いのたん白加水分解物には多種類のアミノ酸などを含んでいますので、いろいろな旨味やコクを料理に付けたり補ったり出来ます。そのため大変人気がある調味料なのです

    このたん白加水分解物の主な製造方法には2通りあり、塩酸を使う①塩酸分解法と、酵素を使う②酵素分解法があります。酸、アルカリ、酵素程度の簡単な加工は食品添加物でなく食品扱いです。こんなことを知ると、化学知識のあまりない私から見れば、前回のグルタミン酸Naなどの発酵法による加工の方が簡単に思えてしまうのですが・・・・

   ①の塩酸分解法では、変異原性のあるクロロプロパノール (略称3-MCPD)が微量に生成されます。このクロロプロパノールは長期に渡って摂取すると腎臓への悪影響が心配されている物質です。しかし製造工程でアルカリ処理をするとクロロプロパノールが低減できますが、それでも塩酸分解法たんぱく加水分解物を危険視している人が多くいるのです。 また使用する塩酸が劇薬だからと問題を定義する人もいます。でも塩酸は私たちの胃液の成分でもありますし、食用の塩酸を使用していますので、安全上は何も問題がないと思いますが・・

   たん白加水分解物には製法以外に使用原料の種類による分け方もあります。原料に肉や魚を加工した時に出来た残渣(ざんそ・・残りかす)、ゼラチンの動物由来とするたん白加水分化物と、大豆から油を圧搾した残りの大豆ミールや小麦などの植物由来とするたん白加水分解物があります。これらの原料を塩酸や酵素で 加水分解してアミノ酸を得るわけです

   たん白加水分解物は製法や原料によって味に違いがあり、塩酸分解法で作った方が「味にパンチがある」とか「味に伸びがある」とも言われています。私の主観ですが昆布(昆布エキス)鰹節椎茸などの風味原料だけの食品は味が淡泊で、何かもの足りなく感じますが、たん白加水分解物酵母エキスを一緒に使うと、味に深みが出て旨さとコクが増すように感じます
   さて、醤油に使うアミノ酸液たんぱく加水分解物ですが、原料は植物性に限られています(中国では毛髪由来のものがあり、問題になった)  

   また酵母エキスの原材料はビール酵母(パン酵母トルラ酵母)で、酵母を自己消化させたり、酵素、酸などで加水分解したりすることによって抽出したエキスです。 この「酵母エキス」はアミノ酸(昆布のうまみ)核酸(カツオのうまみ、シイタケのうまみなど)などが含まれており、調味料として使用します。原料の酵母ビール味噌醤油などに昔から使われており馴染みがありますし、酵母エキスは簡単な化学加工ですので食品扱いです

   化学調味料不使用の食品にはグルタミン酸Naイノシン酸Na」などのうまみ調味料は使われていませんが、それに代わる食品と表示出来るたん白加水分解物酵母エキスを使っているのです。 何も一々自社の食品に化学調味料不使用を謳う必要はありませんが、敢えて不使用を謳うのは、私たちの食品や食品添加物の基礎知識が希薄な事を知っている商法でもあるわけです
(私たちの「化学調味料使用食品は身体に害があるので、買わないほうが賢明だ」と言う心理を利用)

    さて次回は「無添加食品は本当に存在するのか」を考えてみましょう