4.豚も大好きコンビニ弁当
九州のある新聞社は「福岡県内の在る養豚業者が豚の餌代を浮かすために、ただでもらえる賞味期限切れのコンビニの弁当やオニギリを餌として与えた。その結果、豚はみるみると太り始めたので慌てて餌を減らした。またお産では死産が相次ぎ、やっと生まれた子豚は奇形であったり、虚弱で直ぐに死んだりもした。透明なはずの羊水がコーヒー色だったりした。慌てて餌を元に戻したらお産は正常に戻った」と自紙の記事に載せた事があります
内容が衝撃的だったために読者は右往左往して、事の真偽の追求や、コンビニチェーン名や養豚所の名前などの問い合わせが新聞社などに殺到したそうです。しかし新聞社は名前を公表すると社会的な混乱が生じるので控えたと答えています
この記事を書いた記者は「母豚に餌としてコンビニの弁当などを毎日3kg与えたら、ぶくぶく太った」と食品添加物の急性毒性を疑い、また「生まれた子供は奇形だったり死産だったりした」と食品添加物による催奇性などが生じたと、訴えたのです
しかしこの豚に生じた催奇性や急性毒性についての栄養学者のコメントは「三食をコンビニ弁当で済ましたのと同じで、栄養のバランスを崩した」と説明しています
また「豚はとても敏感な動物なので、餌を変えただけでストレスを起こすことがある」と獣医師はストレス説をあげています
豚は品種にもよりますが、特に妊娠した豚の体重は子供の十倍も二十倍以上にもなります。きっと先程のコンビニチェーンは、毎日何十万食以上ものお弁当やおにぎりなどを私たちに提供しているはずです。多くの子供や妊娠している女性、そして老人などが毎日このお弁当などを食べていたはずで、私たちの身体にどれだけの影響を与えたかが心配にもなります
残念ながら、この新聞社の記事は私たちに食品添加物に対しての疑念だけを抱かせるだけで、何が原因で豚にこれだけの急性毒性や催奇性が出たかの原因を調査しなかったために、尻切れトンボで終わってしまいました
この新聞社は食について一過言を持っており、定期的に食に関する刊行物を出版しています。ですから独自にいろいろな大学や研究機関にこのコンビニ弁当やおにぎりを持ち込み、何が原因で豚にこれだけの催奇性や急性毒性がでたかを、調査して誌面で報告すべきでしょう
またこれだけの豚の異常出産や死産が相次いだのですから、養豚業者は家畜保健衛生所などに届け出するのが普通です。でもどうやら届け出すらだしていないようで、農林水産省などの行政の原因究明もなかったようです
マスコミは視聴率を稼ぐために、また新聞や雑誌を売るために不安を煽るこの手の記事をよく載せるのは当たり前ことです。いくら食品添加物に批判的な人に「このような事件はありうる」と支持された記事としても、科学的根拠がないのでは記事の信憑性が全くありません。そのせいかネット上での感想は、「嘘だらけの記事だ」と批判していた人が多くいたようです
しかしこの記事で気になった点がいくつかあります
一つは、大手のファーストフードなどは破棄した食品を、特別に契約してある回収業者が厳重に回収して処理させます。これは破棄した食品を食べて、食中毒になればイメージダウンに繋がるために破棄物まで徹底管理しているのです。養豚所に提供されたコンビニの弁当などはそこまでは管理されていなかったのか・・・。また他のマスコミがこの豚の催奇性事件をほとんど報道していない点です
もう一つは、お弁当やオニギリは賞味期限でなく、消費期限なのです。折角の記事もこの段階で信頼性が大幅に失墜してしまいます
さてこの記事の後半には前述のコンビニチェーンとは別の某コンビニチェーンの名前を挙げて、「このコンビニチェーングループは食品管理を工夫して、添加物を減らす努力をしている」と実名を出して称讃していますが・・・
次回はこのことについてお話しましょう