5.コンビニの保存料・合成着色料不使用の狙いは

   前回お話した九州のある新聞社は、「豚の催奇形性」事件の記事の後半に「某コンビニチェーンなどは、食品管理を工夫して、食品添加物を減らす努力をしている」とレポートしています
    この記事の内容から、某コンビニチェーンの食品添加物を減らすとは、弁当などの保存料合成着色料不使用のことを意味しているようです。しかし保存料・合成着色料不使用のお弁当やお総菜は某コンビニだけが販売していたのではありません。ほとんどのコンビニチェーンでも保存料・合成着色料不使用のお弁当やお総菜を販売しています

   食品添加物批判本を多く執筆されている、あるジャーナリストも、PHP新書で「前述の某コンビニ弁当などから保存料合成着色料が消えた。コンビニ弁当などに保存料を使わないと、雑菌が繁殖するのでリスクが大きい。食中毒でも起こせば会社の信用を失いかねない。この大きなリスクをあえて引き受け、技術革新創意工夫保存料・合成着色料を減らした」と、新聞社と同じように某コンビニチェーンを絶賛しているのです
   確かにコンビニ弁当総菜などから私たちが嫌う保存料が消えました。料理は作ってその場で食べたり、直ぐに冷凍したり、販売したりするならば保存料などはいりません
  コンビニ弁当御惣菜などは衛生管理や温度管理が徹底された工場で作られ、保冷車などで店へ配達されます。しかしお店では不特定多数の人に時間をかけて販売するわけです。いくら温度調節が出来る店や棚に並べても、「食中毒を防ぐ」という安全性を担保とするためには保存料が必要となります。でも保存料は嫌われものですから、それに代る食品添加物の日持ち向上剤を使用しなければならないのです

   食品添加物の用途名としての保存料はありますが日持ち向上剤はありません。ですから原材料欄では物質名で表示されているグリシン酢酸ナトリウムリゾチームエタノール(酒精)グリセリン脂肪酸エステルキトサンなどが相当します
  グリシンなどは食品の細菌の繁殖を短期間抑えることが出来ますが、保存料より食品の保存効果はありません。食品の保存効果を充分に発揮させるためにはグリシンなどの日持ち向上剤を数種類使用したり、量を多く使用したりします
   更にpH調整剤を2~3種類使うことも珍しくありません。多くの食品のpH酸性ですし、保存料日持ち向上剤の添加物も多くは酸性下で効果が発揮できるからです。ですからpH調整剤を使用して食品を酸性下領域に調整してから使用します

   昔の弁当に梅干ワサビ漬などが入れてあったのは、理に適っていたわけです

  着色料は見た目を良くして、購買欲や食欲を刺激するために食品に使います。また収穫した野菜や果物などでは、加工中などに色が褪せたり、本来の色と違ったりしたものが出てきます
   それではそのまま食材にしたり、製品にしたりすると必ず私たち消費者からクレームがつきます。「品質が劣る物を使っているのではないか」などと懸念し、消費者離れを恐れ、そのため私たちが知っている色に着色しているのです。着色料を使用するのは、私たち消費者の要望ということになるわけです
   しかし合成着色料不使用といっても天然系の着色料を代わりに使うのです。天然着色料は天然の色素は数%ですが、それを溶かしたり使いやすくするために溶剤(副剤)を使います。その溶剤(副剤)としてプロピレングリコールエタノールクエン酸などになります。1種類の合成着色料天然着色料に代えると、数種類の合成添加物などを摂取することになるのです

   批判される合成着色料タール色素などは数々の安全実験が行われており、使用基準以内なら安全であるとJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)や世界の学者が認めています
    しかし天然系着色料は過去の食経験や自然に存在するものとして認められたもので、未だに多くは安全実験が行われていません。このように「保存料・合成着色料」不使用というのは食品添加物数の削減にはなりません
  保存料・合成着色料不使用の食品を企画した人たちは、私たちが食品添加物についてあまり詳しくない事を知っており、それを逆手に取った商法が無添加・不使用なのです。しかし保存料・合成着色料の不使用を謳っているだけで、食品添加物削減などは謳っておりません。前述の新聞社やジャーナリストなどの勝手な思い込みなのです