第三章 私の名前は化学塩 312

   しかしその一方で「精製塩(食塩)は、海水中の大切な微量ミネラルがほとんど振り払われた、ミネラルバランスを失った塩である」と批判しています。さらに「食塩のミネラルバランスの乱れは、目の前でどうだ、こうだと証明出来なくても、いずれ大なり小なり現れてくると思わねばならないであろう」と結んでいます
  すなわち食塩を長期間摂取すると、微量ミネラル不足のために今は身体に異常がなくとも、将来間違いなく健康を害すると説明されているのです
  先生は「天日塩を海水で溶かして作り直し、中国産のニガリを加えた天塩や、海水で溶かして作り直した伯方の塩などが、ミネラルを添加したりミネラルバランスを改善したりした塩である」と再製天日塩の良さを強調されています。そしていわゆる自然塩の海の精などもミネラルバランスに優れていると著書で褒めちぎっていました


  日本人の自然食愛好家にも尊敬されている、自然健康法や自然海塩の世界的な権威のジャック・ド・ラングレ師は「自然海塩の超健康パワー」を執筆されました
  その日本語訳版
(徳間書店)に早稲田大学教授小林寛氏は特別寄稿しています。その内容は娘さんのアトピー性皮膚炎が快癒した体験記ですが、その中で「水道水の塩素がアレルギーに影響を及ぼす」と指摘しているのです。そして「自然海塩の摂取がアトピーなどのアレルギーを抑える効果がある」とも記述されています

*図をクリックすると拡大します
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 そして「塩の精製度が増した時期が、日本全体でアトピーが増加しはじめた時期と一致する」と結論づけて痛烈な精製塩(食塩)批判をしています
 また訳者の原悠太郎氏は「政府の高純度塩(食塩)の押しつけは、国民をモルモット扱いにした」と強く批判しています。更に彼は「医療費の膨張は高純度塩摂取が原因で、精製の問題は塩だけでない」と断定し、「砂糖、米、麦、食用油などにも精製の被害が広がっている」と警告したのでした。原氏は特に塩について「塩は毎日摂る主要な食品として、しっかり見直すべきである」と、食塩を排除して自然塩を摂取することを勧めているのです

 食養研究家の中嶋孝司氏は著書「減塩の恐怖」(蝸牛社)で「イオン交換膜を利用した食塩は、塩化ナトリウム分が99%以上の高純度塩である」と非難しました。イオン交換膜によって、「天然組成(成分)のバランスが人工的に破壊された化学塩で、身体に対して影響を及ぼしている」と説明しているのです

ミネラルバランス・・・塩でのミネラルバランスは大変曖昧に使われており、「いわゆる自然塩は塩化ナトリウム純度(塩の中の塩化ナトリウムの割合)が低いので、いろいろなミネラルが含まれており、海水に近いのでミネラルバランスがよい。しかし「食塩」や岩塩などは塩化ナトリウム純度が高いので、いろいろなミネラル分が欠落しているので(少ないので)ミネラルバランスが悪い
 

  自然塩運動の中心的な役割を果たしたのが日本食用塩研究会などです。この会に属する前述の諸先生の痛烈な食塩批判は日本専売公社(JT)への宣戦布告であり、同時に自然塩派蜂起への檄文も兼ねています
  世界的に著名な学者もお見えになりますが、先生方の御本の食塩批判の中には、化学的根拠に乏しいものが多くあります。それを補うために自然塩が優れていると錯覚するような塩の実験を、御自分の御本に記載したり、文章の巧みさで私たちを翻弄したり、嘘みたいな陳腐な推測論で終始したりした本もありました。しかし彼らの本は、科学知識に疎い私たちには強いインパクトを与えたのでした

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