第三章 私の名前は化学塩 331

   家森幸男名誉教授は十年前ほどから「ぬちマースの生活習慣病に対する予防効果」について京都大学、生産開発科学研究所、理化学研究所、武庫川女子大学と共同研究をされています
  この本の後半にある生活習慣病などの治癒例は家森氏や京都大学の研究結果を踏まえての発表なのでしょう
  多くの人の塩の知識を大幅に変えるもので、事実ならばノーベル賞の
医学生理学部門に
ノミネートされる価値のあるものだと思っていますが・・・

  さて家森博士は同門の世界的な高血圧の権威であった故青木久三博士とは「塩と高血圧」の関係についての認識は全く違い、いつも減塩を勧められ食塩を目の敵にしてみえる方です
  ぬちマースは前述の日本食用塩研究会の先生方が推薦する塩と比較しますと、マグネシウムやカリウムの含有量が一桁も、二桁も多いので、この本の説得力は十分にあります
  ミネラルの多い塩を摂取することは生活習慣病などの予防や治療に大いに役立つのでしょう

でも私はひねくれ者ですので、この本を何故か斜め読みをしてしまいます。読んでいるうちに高価なアガリスクを売るための「アガリスクと本のセット販売」を思い出してしまいました
  著名な医師や大学教授の肩書を利用して、ライターに出鱈目の体験記を書かせた事件です

 

第三節 カリウム塩で完全犯罪を

高安氏が強調するように、高血圧の原因は塩化ナトリウムにあると長い間言われ続けてきました
  スーパーなどの塩売り場には「塩分を
50%カットしたやさしい○○○塩」「塩分が気になる人へ、30%塩分をカットした○○塩」などと、ナトリウムの代わりにカリウムに置き換えた塩が最近目立ようです。私はこのような「高カリウム塩」を敢えて「フェイクソルト(偽物の塩・塩もどき)と呼ばせていただきましょう

 カリウムが高血圧を防ぐ効果があることはよく知られており、ドイツでは「リンゴを食べれば医者いらず」なる諺もあるくらいです。日本では医学者佐々木博士がカリウムの多いリンゴを多く食べると高血圧の予防に繋がると実証しています

 

*図をクリックすると拡大します
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 本書に出てくる医学者たちも、カリウムがナトリウムの排泄を促すので、高血圧の予防にも繋がると言います
  厚生労働省は高血圧予防のために、日本人の塩の摂取量
(必要量)2000mgはそのままにして、高血圧予防のたに3500mg以上のカリウムの大量摂取を勧めています
  このためなのでしょうか、「カリウム摂取が高血圧を予防する鍵で、ナトリウムは悪役である」なるイメージをお持ちの読者の方も多いようです


    前述の橋本、尾方、そして杉田博士らは「健康な人でさえ、塩化カリウム30%以上の減塩用の塩は、医師の指示を得て使用することを勧めたい。高カリウム血症や心筋への影響を懸念する意見が医学会で多い」と言います
  また伊藤博士も「腎機能が低下している人は、市販されているカリウムを多く含まれている健康塩と称する塩の摂取には、高カリウム血症に充分注意が必要である」と述べています
  島田博士は「食生活でカリウム分は充分摂取できるのに、塩化カリウムを塩化ナトリウムの代わりに使うのは、私達が歴史上経験したことがないほど大量に
摂取することになり、大変危険なことである
  カリウムは作物の肥料として使うことが最も大事なことである」と述べ、他の博士と同様に高カリウム塩摂取は危険であると警告しています

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