第三章 私の名前は化学塩 341

  私は自然塩対食塩の戦いは似た物同士の蝸角の争いと思っています
  食塩と正面を切って争っていた自然塩も
NaCl純度(乾物基準)には大差なく、実はそれほど誇らしげに語れるほどミネラル分は多くなかったのです。おまけに毎日家庭での塩の摂取量もしれています
  自然塩に含まれているミネラルが「私達の身体に大きな影響を与えている」は塩のミネラルの効用の買被りすぎで、妄想とも言えるのではないでしょうか
  科学的根拠が伴わない食塩批判するよりも、それより科学的根拠があり、本当の危険性がある高カリウム塩を非難排除すべきものです

  しかしつい数年前までは自然塩運動を牽引し、「塩はミネラルや微量ミネラルが大切で、ただ含まれていればよいのでなく、塩のミネラルバランスがとても大切だ」と運動していた自然塩団体が、いつのまにか塩の大手の再製天日塩メーカーにまで成長しました
  まさかその会社が、いくら高カリウム塩が儲かると言って、塩のミネラルバランスを大きく崩した塩などは間違っても販売出来ないと思いますが・・・・

 

第四節 流下塩田塩はミネラル不足だった? 

グループ・トポスは「いのちの自然塩」(ハート出版)で「イオン交換膜法で作られた塩は、ナトリウムや塩素以外のミネラル分が除去された。そのため塩化ナトリウム純度が99%以上の塩で、ミネラルが不足しているために万病のもとになる」と本の題名通りの食塩批判をしています
  「理想的なミネラル摂取法は、海のエキスをそのまま結晶化させた自然塩を食べることである」と自然塩に含まれるミネラルを過大に評価しています
 そして「昭和
46年には国内の塩田がすべて閉鎖されために塩田塩がなくなり、イオン交換膜塩の食塩となった。そのためミネラルの欠落によって、身体にさまざまなトラブルが起きる可能性が考えられ、日本の食卓にとって食塩は深刻な出来事である」と私たちに警告を発したのです

 

 

*図をクリックすると拡大します
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   このように「流下式塩田はミネラルが豊富だが、食塩はミネラルが欠落している」とグループ・トポスや自然塩業者などはよく指摘していました。しかしこの批判には一切科学的なデーターがありません
  ですので流下式塩田塩と
イオン交換膜塩のミネラル構成やその量について、調べてみる必要がありそうです


    3-6は入り浜塩田塩、流下式塩田塩、イオン交換膜塩の主要ミネラルの構成、ならびに量と比をソルト・サイエンスの元専務の橋本氏が調べたものです
  その結果を考察しますと、構成成分比の多少の変化が見られます。でも含まれるミネラルほとんど変わりなく、塩化ナトリウム純度も
流下式塩田塩、イオン交換膜塩(表から推察しますと99.4 99.5)ほとんど変わらないようです
  グループ・トポスはイオン交換膜塩を万病のもとと非難していますが、
流下式塩田塩も似たような構成成分で、またNaCl純度もあまり大差がありません。「食塩が万病の元」だったら「流下式塩田塩も万病の元だった」と言えそうです


 ミネラル研究の第一人者である糸川嘉則京都大学名誉教授は、ある講演会で「マグネシウムは自然塩のニガリや米糠などに多く含まれているが、精製により慢性的な欠乏状態にある」と講演され、昔はマグネシウムを自然塩のニガリや米糠から摂取していたと発言されています

   昔の塩について調べてみますと、明治時代の塩作りは入浜塩田を利用してできた濃い海水を、平釜などで煮詰めて塩を作っていました
  真塩
(ましお)はこの海水をあまり煮詰めないうちに出来た塩で、塩分濃度が80%以上あったと言われています。それを山積みして、ニガリが垂れなくなるまで放置してから販売しました。それでもニガリ分は5~10%前後もありましたけれども、ニガリが少なくてよい塩と言われていたのです
  更に先ほどの海水をほとんど煮詰めて出来た塩を差塩
(さしじお)と呼びました

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