第二章 塩の作り方を知っていますか 224
この化学塩が自然塩に比べて、健康に思わしくない影響があると指摘されている。また塩が急激に変わったために調理に異変を起こした。沖縄には塩田地帯が残されているため、それを復活させ本物の自然塩を作ろう。そして海を守ることが塩を守ることになる」と訴えて「青い海と自然塩を守る会」を結成したのです(青い海の母胎となる)
当時専売公社は専売塩以外の塩を特殊用塩として製造を認めていました。味の素株式会社のアジシオ、静岡県ではあらしお株式会社が天日塩を南アルプスの伏流水を使用して作ったあらしお、大阪ではマルニ株式会社のエンリッチがありました
あらたに天日塩を井戸水(海水で溶いたりすると専売法違反になる恐れがある)などで溶解・精製して、平釜で煮詰めて塩を作る再製天日塩の許可を三社に下したのです
兵庫県では株式会社自然塩普及会が中国産ニガリを添加した天塩が、愛媛県では伯方塩業株式会社が伯方の塩が、沖縄県で株式会社青い海の沖縄の塩シママースが認可されたのです
そしてしばらくするとかねてから伊豆大島で研究を続けていた日本食用塩研究会は,竹や笹の代わりにネットを張り巡らしたによる製塩を成功させ、会員のみの販売を専売公社より認可されたのでした
後に株式会社自然塩普及会は株式会社天塩になり、「日本食用塩研究会の事業部門は海の精株式会社になりました。株式会社天塩は日本食用塩研究会のために平成の初め頃まで、人件費や研究費などを負担していたようです
専売法違反であるが、天日塩を海水で溶いていたメーカーもありました。これは塩の成分を調べれば簡単に分かることだと思います
しかし「塩のミネラル量とバランス」、「微量成分の人に対しての有効性」などの科学的なデーターなどの裏づけが出来ないままに自然塩を販売してしまったのです
でも運の良いことにちょうど自然塩を販売したとき、自然食が大ブームになったのと、マスコミが自然塩に対して大変好意的な態度を取ったために、自然塩は私達にいとも簡単に受け入れられたのでした
学者や自然塩業者の中には「イオン交換膜塩は海水を電気分解した化学塩」とか「イオン交換膜塩はミネラルが欠落した欠落塩で人体に害を及ぼす」とか、「イオン交換膜塩は化学物質と化学物質の化学変化によって出来た塩で摂取すると危険」とか、「ミネラルの欠落はガンや現代病すなわち生活習慣病の原因となる」などと科学的事実の裏付けがない事を私達に広めた人も多くいたようです
この運動は ロングライフ牛乳が商品化されたときとよく似ているようです。現在スーパーや自販機で販売されている小さなサイズの紙パックの牛乳、すなわちロングライフ牛乳が開発商品化されたとき、あらゆる消費者団体がロングライフ牛乳の販売に反対をしました。その理由は「カルシウム分が高温殺菌することによって失われる」とか、「大変腐りやすいものなので長期保存には適さない」などと、わけの判らない非科学的な理由が主でした
またある大学の学者たちはロングライフ牛乳をアジルと決め、根拠となるデーターも示さないで、あたかも危険性があるような不確かな情報を消費者団体に流したとも言われています。そのため満を持して発売に踏み切った乳業メーカーは、これらの危険性を打ち消すために長い間奔走して、やっと私達に認知されるようになったのです
さて先ほどの自然塩運動ですが、純粋に「身体のためによくない」と思い自然塩運動に猛進した人も多くいたようです。しかし中には商売チャンスと思い、自然塩運動に参加した人も少なくなかったようです
これら自然塩運動の影響なのでしょうか、私達の中には塩を自然塩と化学塩と全く対照的な言葉を使って呼ぶ人も多くなりました。そのような人たちに自然塩が認知されるようになり、自然塩の販売量は急激な右肩上がり状態となったのです