第二章 塩の作り方を知っていますか 231

第三節 塩の作り方知っていますか? 

 自然塩と化学塩の戦いで、一方的攻められているのは化学塩の食塩です。でも自然塩同士でも塩の優劣、すなわち作り方の違いを競い合っているようです。ここではいろいろな塩の作り方を見てみましょう

  食べ物がどのように作られているかは大変気になるものです。塩も同様で塩の製造方法は大雑把に分けると次の三種類なります
  (1)は日本で行われている製塩方法で、イオン交換膜を利用した塩、ネットなどを利用した塩、また海水を直接煮詰めた塩などがあります。最近は海洋深層水製造などに使われる逆浸透膜を利用した塩が多く出まわっています。またビニルハウスの中でネットに海水を噴霧しながら温風を当てたり、熱した金属に海水を噴霧したりして作る塩もあるのです
  さらに下記の
(3)の塩をすなわち塩田で作られた天日塩を,日本の昔の製塩地の海水や地下水に溶かして異物を取り除いて精製、そして煮詰め直して塩にしたものもあります.   これらの塩の製造方法は日本独特の塩作りで、イオン交換膜製塩も含めて日本の製塩文化と言ってもおかしくありません

  このような日本独自の製塩文化が発達したのは、日本には塩湖や岩塩層が存在しないのと、太陽と風などの自然の力だけを利用した塩作りをするには、気候的条件が悪すぎるのが大きな要因です
  日本の年間降雨量は雨が少なく冬でも温暖な瀬戸内海地方でも
1200mm、年中気温の高い沖縄では2200mm、それにひきかえオーストラリアなどの塩田では50mm以下の降雨量の地域もあるようです。このように塩作りが盛んであった日本の製塩地でさえ、外国の塩田地域より雨が多くて冬の気温も低く、適度な風も吹きません。すなわち日本では太陽と風の力だけ使って、自然に天日塩を作ることは不可能なことでした


   (2)は岩塩を採掘したり、塩湖の濃い湖水や近辺の井戸水(濃い塩水)を利用したりして製塩する方法です。また塩湖に堆積した塩を採掘したりもします。岩塩は岩塩層として世界各地に広く埋蔵していますが、それに比べて塩湖はそれほど多くありません

   (3)はオーストラリア、メキシコ、ヨーロッパの一部、中国沿岸部などに見ることが出来る塩田による製塩方法です

 

*図をクリックすると拡大します
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1イオン交換膜塩(膜利用塩)

 
  1972年から海水から真水を得るときや、また粉ミルクや減塩醤油などを製造するときにも使われるイオン交換膜を利用した製塩が始まりました
  製塩の歴史でもお話ししたよう に日本の塩作りは、塩田を利用した製塩が長く続き、揚浜式塩田、入浜式塩田、枝条架併設流下式塩田と改良されていきました


   改良されても広大な土地、労力、エネルギーが必要でしたし、天候や季節などに左右される欠点もありました。これらの欠点を補うための製塩方法がイオン交換膜製塩法でした。当時の日本政府や専売公社は「イオン交換膜を利用することにより、効率よく世界一安全な塩が生産出来るようになった」と自画自賛していたものです
  この理由として万一有害な物質で海水が汚染されていても、例えば細菌、石油、洗剤、
PCB、ダイオキシン、トリブチルスズ、農薬、重金属などが決して塩に混じることはありません。安全で天候に左右されなくて安価に出来る製塩方法で、また広大な塩田の必要がなくなり、工場で生産が出来るようになったからです

 

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