第二章 塩の作り方を知っていますか 2310

 使命を重んじるこの元売さんは、慌てて値段の高いオーストラリア産の塩を手当して、国道維持管理事務所に納入し直したのです。素早い対応で国道の長時間の通行麻痺が回避できたので信頼は失いませんでした。しかし決算では大幅な赤字を出してしまい、二度と中国塩は扱いたくないと話されていました

7フェロシアンの塩

 ここではフェロシアンについてお話しましょう
  サラサラタイプの塩などは湿気を帯びやすいのでよく固結します。それを防ぐために日本では無害な炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムを塩に添加します。けれどもアメリカ、ヨーロッパ、中国などでは塩の固結防止のためにフェロシアン化物を添加するのが普通です
  しかし日本では慢性毒性、発癌性、遺伝への影響などの安全データーの不備と、酸性で加熱すると猛毒のシアンが発生するために使用が認可されていませんでした

  けれども日本の法律をないがしろにして、フェロシアンを添加した塩やそれを利用した食品が、スーパーなどに大量に出回るようになったのです
  本来はそれらを厚生労働省は回収を指示すべきでしたが、急いでフェロシアンを添加物として認可してしまいました。「フェロシアンは世界でも認められ、使われている添加物で安全である」との理由からです。すなわち
JECFAは「基準以内の摂取ならフェロシアン化合物は安全である」と評価していますし、また塩の国際規格のCODEX案にもフェロシアンの添加が認められているからです

  でも実情はフェロシアンを添加した塩を利用した食品を摘発すると、あまりにも多数の輸入食品が該当し、回収騒ぎのため市場が混乱麻痺して収拾がつかない状態になるのを避けたとも言われています。そして回収することになれば、輸入業者や製造業者やスーパーなどの損失も莫大な額になったと想像されます。スーパーや商社や輸入業者の救済の意味合いも含んだ、事実の追認の決着だったのでしょう
  塩工業会や消費者団体の
フェロシアン塩反対の声もむなしく、簡単に許可してしまった厚生労働省でした

JECFA・・・国連の食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議のことで、各国の添加物規格に関する専門家及び

毒性学者からなり、各国によって実施された添加物の安全性試験の結果を評価している

 

8 ナフトールグリーンB 

天日塩は塩田で海水を太陽と風の力を使って、ゆっくりと時間をかけて自然に塩を結晶させたものです。オーストラリアやメキシコなどでは一年から二年の歳月をかけて、また中国やアジアやヨーロッパでは気候的な条件があるために半年近くで塩を結晶させます。製造コストを考えればなるべく時間をかけないで、早く塩を結晶させたいと思うのが人情です

  海水の蒸発を促進させるために、タール系色素のナフトールグリーン
Bを使うことがあります。海水に溶かしますと海水がダークグリーンになって海水の蒸発を促進させます。その結果時間を大幅に短縮して、天日塩を結晶させることが出来るのです
  日本ではこのナフトールグリーン
Bは食用添加物としては認可されていません

時効になったのでお話しますが、実はこの色素 を利用したオーストラリア産天日塩が、日本へ輸入されたことがあったのです。工業用途ならこの色素が使われていても何も問題は生じません

  しかし食用の用途として輸入されていたことが分かり、慌てて秘密裏にオーストラリア塩の食用としての使用禁止、そして輸入の自粛処置までとったのです。それまでに日本に輸入されたものを徹底的に分析調査までしましたが、
全く検出されませんでした。更に現地へ専門家を何人か派遣して塩田調査や分析調査などをして、安全性を確認してから輸入が再開されたのです

 当時は塩事業センターが天日塩を一括管理していたので、この色素の混入の情報がわかったと言われています。しかし塩の自由化になってからは塩事業センターに代わり、商社などがこれら天日塩を輸入管理しています

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