第二章 塩の作り方を知っていますか 239

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6外国の塩について

前述の武者先生は「日本の精製塩(食塩)は世界で一番純度が高い塩だ」と言い、「99.5%以上の純度の塩を、人が食べる塩として規格にしているのは日本だけで、世界中探してもない」と断言されています

  気になりましたのでいろいろな国の塩の
  塩化ナトリウム純度などを調べて、表2-7にしました
  この表以外のアメリカ、イギリス、スイス、イタリアなどの塩製品の多くは、この一覧表と同じように塩化ナトリウム純度が
99%前後です。製法こそ違いますが、日本のイオン交換膜の食塩や再製天日塩メーカーの焼塩とほとんど同じタイプで、水分が少なくサラサラした塩が多いのが特徴です

  これは欧米の人たちは 
天日塩に含まれるニガリなどを珍重しませんので、精製したときにパッサリとニガリ分を落とすからです。日本と違って「精製した塩の摂取によって、生活習慣病に罹患してパタパタ倒れて社会問題になっている」と言われていません
<でもフランスやイタリアの塩の中には水分やニガリ分が多く含まれたものが販売されています。これらには狂信的なファンがついており、使用すると料理が美味しくなると信じている人たちです。またアジアの国もベタベタタイプの塩が目立ちますが、これは製塩技術がないせいでしょう  


 また添加物を加えた塩も多く存在します。例えば海藻類を食べない国の中には、塩にヨードすなわち沃素添加を義務づけている国も多くあり、添加しないと販売できません。塩は他の食品と違い必ず毎日摂取しますので、塩に添加しておけば間違いなくヨード分を最低限摂取ができるからです。また塩の固結を防ぐためにフェロシアンを添加した塩も多くみられます

ヨード・・・沃素のことで海藻類に多く含まれており、体内で甲状腺ホルモンを合成するのに必要な元素

 

  読者の皆さんは御存じないでしょうが、日本でも中国塩が多く流通しています。食用用途に使われる中国塩もありますが、それは輸入量のほんの一部です
  塩に限らず食品でもそうですが、何が混入しているのか分からないのが中国産の特徴です。そのため安全・安心が不透明な中国塩は、食品業界ではリスクが高過ぎて敬遠する業者が多いのです(一部の漬物業者が下漬に使っていると言われている)
  ですから中国塩の用途のほとんどは道路用の凍結防止剤です。寒い冬の高速道路や国道などに撒いて雪を融かしたり、道路の凍結を防いだりするのに使います


 知り合いの元売り(塩の問屋)さんは、中国産の天日塩を道路用に輸入したことがあります。輸入するにあたりいろいろな中国製塩会社(東京の出張所や中国本土)などから、見積やサンプルそして規格書を取り寄せました。サンプルの品質も上々で、道路公団などの規格と照らし合わせても問題なく、値段、デリバリー、支払条件、その他を熟考して一社に絞ったのです
  道路公団、国道維持管理事務所、県や市町村などの土木管理事務所などに、この中国塩を道路用塩
(融雪剤)として応札したのです。その結果国道や県などの管理事務所に道路用塩の入札に成功しました

  そして冬が到来して寒くなり、道路が凍結して何回か中国塩の納入を繰り返しましたが、デリバリーにも支障なく、また一番心配していた塩の品質にも問題もなくて順調そのものでした。借りていた港の倉庫の在庫も予定していたより早くなくなりかけ、次の船の入港が心配されました。予定通り中国から船が入港して、倉庫も
道路用塩
で再び満杯状態になったのです
  しかしある寒い晩に国道維持管理事務所から電話がはいり、至急来るようにとの仰せでした。担当者が慌てて訪問しますと、あとから来た船の塩は大変品質の悪い物で、とても使えないとの事でした

  道路用塩は食用の塩と比べて黒っぽくて汚い塩です。二回目に輸入した塩は黒くて汚いだけでなく、砂利、大石、小石、土、木端、釘、ゴム手袋などが大量に塩に混入していたのです。塩は直接または水に溶かして道路に撒いたりします。大抵は機械を使って散布しますので、混入物は機械を傷めるので、それらを取り除かなければ使用も出来ません。分別するには多大な時間と労力も要しますし、また高速道路や国道が長時間ストップすると日本経済に大きな打撃も与えます

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