第二章 塩の作り方を知っていますか 251

  瀬戸内海などの沿岸でよく見かけるのが肉食の巻き貝の仲間のイボニシです。このイボニシの雌に雄の性器が出来るインポセックス現象が見られるようになりました。これは環境ホルモンの疑いが濃い有機スズ化合物のトリブチルスズなどが原因だと言われています

  このトリブチルスズは船舶の底に塗ったり、養殖の時に使われる漁網に塗ったりして使います。海中に生息する二枚貝やフジツボ類や海藻などが船底に付着すると、船舶の航行の際に海水との摩擦が増大するために、船足が遅くなり燃費を悪化させます。船底に塗ることにより、二枚貝やフジツボ類や海藻は付着しません。その結果燃費が大幅に改善され、そしてフジツボなどを除去するための費用などを合わせますと、世界中で年間
5000億から6000億円節約出来たといわれています
  また漁網に塗るのは、フジツボや海藻類などの付着を防ぐためです。海藻類などが漁網に付着するとイケスの海水の循環が悪くなり、養殖魚が病気になりやすいからです

  日本は世界に先駆けてトリブチルスズなどの製造も販売も禁止にしましたが、世界では野放し状態が続いています。船の往来が激しい瀬戸内海や東京湾や東シナ海などは汚染が高い地域だと言われています

   しかしトリブチルスズが、人間に対してどのような影響を与えているかは研究中です。若い男性の精子の数が減少して、女性を孕ませる能力が落ちた大きな原因はトリブチルスズなどの環境ホルモンが原因だとも言われています。塩の原料の海水にはこれらの化学物質などは一切いりません
1pptは縦20m、横50m、深さ1mのプール1000個集めた水の中に目薬を一滴(1mlに相当する



第五節 食塩ほど不味い塩はない

  「天下で一番旨いものは」と聞かれて塩、また「天下で一番不味いものは」と聞かれてもと答えたのは徳川家康の愛妾であるお梶の方です。これは舐めたの味についての感想でなく、料理の味は塩の匙加減一つで旨い物になるし、不味い物にもなると答えたわけです

   しかしの味については「舐めて好みの味が旨い塩だ」とよく言われています。果たしてそれは塩選びの適切なアドバイスなのでしょうか

 

   自然塩擁護派の元日本食用塩研究会の顧問の平島裕正氏は「食塩はべとつくことがなく使いやすい。しかしミネラル量の具合から考えれば味の低下を招き、辛さがきつくて塩が立つ」と食塩を評価しています
  ㈱青い海の知念氏は「塩伝説」
(ゆうエージェンシー)で「 イオン交換膜を利用した塩は化学的製法で問題があり、味もピリピリして塩辛いだけで、全く丸みというか、深さがない」と食塩の味は問題外だと話されています
  女性塩評論家の玉井恵氏は「塩とニガリがよくわかる本」
(東京書籍)で「いわゆる自然塩は塩化ナトリウム以外のマグネシウム、カルシウム、カリウムなどの含有量が多いので、味はいわゆる自然塩のほうが勝り、食塩は塩辛さがばかりが際だつ」と自然塩の方が食塩より旨いと評しています

  食の安全の日本の権威だった高橋博士は「自然食は安全か」
(農文協)で「自然塩と食塩を水に溶かして味わうと、自然塩の方がまろやかである」と自然塩のまろやかさを認めています。けれども「お茶の風味ならともかく、食塩をお湯に溶かして塩の風味を楽しむことはない」とも話されています
  島田教授も「味で比較すると、イオン交換膜塩は舌をさすが、塩田塩は柔らかさ、まろやかさを感じる。味覚では塩田塩が優れている」と御本に書かれています。大抵の塩の本には塩の味について食塩は「塩辛いだけ」と酷評、自然塩については「まろやかで旨い」と表現しています


  では自然塩本などに出てくる、料理人たちは塩の味についてどのように語っているのでしょう。懐石料理「辻留」の辻義一氏は「生命の源であると同時に私達の料理に於いても、やはり塩が命です。現在市販されている化学塩では味が直線的で、丸みに欠け、風味がいかされない。塩は食べ物の中心であるだけに、その微妙な味わいは大きく食べ物を左右する」と言います
  また京都南禅寺の「瓢亭」の高橋英一氏は「京料理では“だし”と塩が大変重要な役目を果たします。お吸い物、煮物、漬物はもちろんのこと魚に一汐当てたときに、自然塩の天然の効果による違いがはっきり分ります」と述べ、食塩より自然塩を使った方が料理を美味しくすることが出来ると言います

 

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