第二章 塩の作り方を知っていますか 261

  どうやら料理人たちは材料よりもまた塩加減よりも、塩の種類やメーカーの方が大切だと言い、スポンサーが泣いて喜ぶ表現をしてリップサービスに努めているようです
  しかし食を提供する者が一番大切な食の安全を全く顧みないで、海のものとも山のものとも分からない、また安全性が数段劣るものもある自然塩を、十把一絡げで褒めちぎるのは大変問題だと思います


    TVなどに登場する料理人たちは「美味しい塩の選び方」のアドバイスとして、前述した「塩を舐めてみて、気にいった味が美味しい塩」と言い、微量ミネラルは味に大きく影響しているとも言います。それが欠落した食塩を舐めると「直線的な辛さしかない」とか「ピリピリした舌を刺すような味」と決めつけています
  しかしニガリが多く含まれた自然塩と食塩を舐め比べなどしたときに、食塩の「さっぱりとした味である」とか「クセのない味」などの良い評価については評価することはほとんどありません。味に関してははじめから食塩は問題外であるという判定を下しているのです
  逆にニガリ分が入った自然塩を舐め比べなどすると「複雑な味がする」とか、「まろやかである」と評価して、自然塩の「生臭みがある」とか「クセがある」とよく言われる欠点の味については一切問いません。このように有名な料理人たちは自然塩を舐めると「旨みがある」表現し、料理に使うと素材を炒めないで美味しくする」とよく言います

  この影響もあるのでしょう、塩を舐めて味見する人も多いようですが、料理の中で使った塩の特徴と舐めた味は全く違います。また塩と料理には相性もありますし、体調によっても味の捉え方も違うはずです。けれどもどんな塩を使おうとも、料理においては材料と塩加減が一番大切なことではないでしょうか


   ある会合で名古屋のJR駅のデパートで、特別に販売していた(ある離島の塩を勧めている)有名な料亭の5250円也の弁当が昼飯として振る舞われたことがありました。この弁当の外見などは、例えば包装紙や器には金がかけてあり大変優雅で見栄えよくて、これぞ高級弁当なる顔をしています

 

  しかし使ってある材料は、とても高級弁当の材料とは思えなく・・・・。おまけに味が薄すぎて田舎者と笑われるかも知れませんが、醤油が欲しいと思ったくらいでした
  これが自然塩を褒めちぎった本に出てくる「
食塩を自然塩にかえると、味が大幅に変わる」ことかと思いました。でも高級弁当ならば値段に見合った材料を、すなわち高価な塩より材料にこだわって欲しいと思った次第です
  そもそも高級弁当なら表現がオーバーかも知れませんが、弁当を通して作り手の顔が、すなわちコダワリが見えるのが普通です。この弁当は確かに容器などの外見や塩にはコダワリがあるようですが、中身はまるで安物の給食弁当で、おまけに塩加減を間違えたためか高血圧患者の病人食のような薄味でした。このような弁当を食べるなら、値段が安くて工夫してあるコンビニ弁当か駅弁を食べた方が食事を楽しむ事が出来たはずです


   さて塩ブームも一段落しましたが、塩のブランドを強調した弁当やおにぎりなどが今でもコンビニなどに並んでいます。また寿司、天ぷら、焼き肉やおまけにステーキまでがいろいろな塩で食べることが流行っているようです
  でも食塩をそのまま寿司や天ぷらなどに使うと、塩が付きすぎて塩辛くてとても食べられたものではありません。このときの塩にはやはり岩塩か、水分が多めの再製天日塩の方が美味しく食べることが出来るようです
  しかし私は折角の美味しい寿司や焼肉を塩で食べたいとは思いません。やはり寿司は古来の食べ方である醤油とワサビが間違いなく合います。また天ぷらには天つゆ、焼肉やステーキには醤油にニンニクなどを混ぜて数日間寝かせたタレを付けて焼いた方が、私には合っているようです

 

第六節・塩の味比べ 

 専売制が終了して塩の自由化が始まると、各地の消費者センターに塩の表示やキャッチフレーズに関する苦情や質問が殺到するようになりました。その苦情や質問に答えるべきいろいろな調査と食味実験などを、東京都消費者綜合センターが行ったことがあります

 

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