第五章 塩も過ぎれば毒になる 532

   指摘されている化学物質とは前述しましたネットなどを柔らかくするときに用いる可塑剤を意味しています
  また「自然海塩の源である海水が、汚染されていない地域のものを選びたい」と日本産のいわゆる自然塩の出生地を問い、手放しで賛美してはいません

ネットなど利用塩・・・立体の海水濃縮置でタワー塩田とか立体塩田とも呼ぶことが出来る。このタワー内部にネットを張り巡らし、上部から海水をゆっくりと流し、ネット上を伝わって下へ流れ、風で水分が蒸発する仕組

  たとえ海水が重金属やダイオキシなどの有害な物質で汚染されていても、イオン交換膜製塩法ならば汚染物質を簡単に除去することができます
  しかしいわゆる自然塩
は海水が汚れていると、塩はその汚れの影響を大きく受けるのです
  玉井氏は「透明度の高い海であっても、様々なゴミなどが浮遊する海水を原料に、そのまま濃縮しているのだから、人体に何かしら影響を受ける不安がある」と述べ、「重金属を含めた成分分析結果を、少なくとも年に一度は消費者に提示する必要がある」と自然塩の安全性に疑問を投げかけ、塩の定期的な品質検査を提案しています


   さて最後に自然塩同士の戦いとして有名な天塩と伯方の塩の品質の戦いである「紅白塩合戦」のお話をしましょう(一部は「塩屋さんが書いた本」から引用しています) 

   オーストラリアやメキシコなどの塩田で、太陽と風の力だけで作られた自然な塩を天日塩と呼びます
  塩が専売であったときは専売公社
(JT)がこの天日塩を、ソーダ工業用や食用として一括輸入していましたが、現在では商社が輸入しています
  その天日塩を海水や井戸水などで溶かし精製して、煮詰め直している塩として代表的なものに天塩、伯方の塩、シママース、あらしおなどがあります

  塩田で結晶した天日塩には
4.2%ほどのニガリ分を含んでいます。しかし石膏、不溶解分である泥、土、砂、サビ、微生物の死骸など、また質の悪いニガリを含んでいるために、現地でそれらを海水で洗い落とす作業をします
  そして日本において井戸水や海水などで溶解して精製するので、ニガリ分が
0.2%あまりになってしまいます。ですのでメーカーによってはニ
ガリを添加した塩もあるのです

 

専売制の末の頃、再製天日塩メーカーの大手である株式会社天塩と、伯方塩業株式会社との間に塩の品質に関する論争が起きました
  伯方塩業は
流下式塩田で作られた塩はニガリ分が適度にあった白い塩であったので「自然塩は白く、ニガリが適度に含まれた塩である」と主張していました
  しかし天塩は中国産の塩田のニガリを添加したために、赤く着色した塩でした
  この赤く着色した塩が自然塩として私達に認知されていましたので、一部の消費者には伯方の塩は漂白した塩だと思われていたようです
  伯方塩業は私達の自然塩の間違った思いこみを解き放つために、天塩の分析検査を利用することにしたわけです


  「天塩は添加物である化学性の中国産のニガリを添加した塩だから自然塩とは言えない」と非難したのです。また天塩の赤色は鉄さびや土や泥の色で、塩の品質に大きく影響を及ぼしているとも主張しました
  この主張を伯方塩業株式会社のパンフレットに「天塩から採取した着色物は鉄、泥である」と記載して配布したのです
  株式会社天塩は「不当な誹謗中傷である」と公正取引委員会に申し立てをしました。これを受けて公正取引委員会が調査に乗り出したわけです
  これがいわゆる赤白すなわち「紅白塩合戦」と言い、塩の業界で生活している者なら誰でもが知っていた有名な塩戦争です

天塩は現在、消費者団体などから指摘を受け、中国産のニガリからメキシコ産のニガリに転換

   伯方塩業は「天塩はニガリ添加と赤色が特徴の自然塩として売っているのに、健康自然食品業界の商品情報には『食品添加物なし』と記載しているのは矛盾している」とも指摘しました
  そして当時の天塩の発売元の「自然塩普及協会」は「実は株式会社であり、自然塩を普及するための非営利団体ではなく、消費団体や自然塩運動を味方に付けるための、カムフラージュである」とも指摘したのです
  JARO(日本広告審査機構)は「株式会社を略すと非営利団体のような誤認を与えるので、
()を明確に付けること」と注意勧告をしたのでした

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