第五章 塩も過ぎれば毒になる 542

 そのうなぎを食べると人が大量に抗生物質を摂取することになり、人間の身体に悪影響を及ぼすことがわかり、社会問題化したのです
  うなぎの病気予防や治療などに塩がある程度の効果あることが分かり、抗生物質の代わりに安い原塩を粉砕した粉砕塩を使用している養鰻業者が多くいます

並塩・・イオン交換膜を利用した塩で、食塩よりニガリ分も水分も多めの塩 

原塩(げんえん)・・塩田で風と太陽で作られた天日塩を。使いやすく粉砕したもの 

2鮎 

 皆さんは鵜飼いを経験したことがあるでしょうか。日本の各地に鵜飼いがありますが、スケールの大きさやネームバリューから言えば長良川の鵜飼いが一番でしょう
  日がとっぷりと落ちた頃、鵜飼いはスタートします。鵜には紐が付けられ、それを巧みに操る鵜匠の船を何台かの屋形船が囲み、鵜飼いを楽しみます
  船のかがり火と夜がかもしだすアンバランスが、私達を幻想の世界に連れていってくれるのです
  夏の暑い夜の暑気払いにもなりますし、もちろん船上で鵜飼いを楽しみながら宴会を開くことも出来ます

  美味しい料理と冷たいビールを飲みながらの鵜飼は至福の瞬間です。鵜飼いの時に取った鮎ではありませんが、このときの料理に必ず出されるのが鮎の塩焼きです
  腸のほろ苦さと、香魚とよばれるように鮎独特の香りにも人気があります。鮎通と呼ばれる人や鮎が大好きな人は、頭から尻尾までもちろん骨も含めてすべて食べ尽くします

  長良川の鵜飼いは岐阜市と犬山市で行われており、岐阜の鵜匠は宮内庁の職員で宮内庁に鮎を献上するのも仕事の一つです
  最近犬山で鵜飼いを楽しみましたが、昔と違い鵜飼いについての分りやすい説明があり「ずいぶん鵜飼いも変わったとなあ」と実感したものです


   この鵜飼い以外にも鮎を楽しみ方法があります
 岐阜県を流れる長良川の上流や揖斐川や板取川にはヤナ場と呼ばれる、鮎料理や鮎と触れ合うことが出来る施設があります
 毎年県内はおろか愛知県の人たちが、これらのヤナ場へと出かけます。特にお盆には家族連れなどが、一つのヤナ場に何千人という人が食事に
そして涼を求めに出かけるのです


   適量の水量がありますと、たくさんの落ち鮎がヤナの上で跳ねる姿を見ることが出来るため、落ちる鮎にまた水しぶきに子供達の歓声が沸き上がります 
  このヤナ場で出される鮎料理の鮎は養殖物ですが、初めの口取りには鮎の塩辛であるウルカ、塩焼き、鮎の煮付け、鮎の天ぷら、鮎の魚田、鮎雑炊、鮎のフライ、鮎の昆布巻き
(卵を抱いた雌鮎しか使わない)、そして鮎の刺身または鮎のあらい、ビールと香の物とフルーツを除けば鮎、鮎、鮎づくしで鮎好きにはよだれが出そうなメニューです

ヤナ・・川の瀬に小さな滝のような落差をつくり、水を引き込み、それと一緒に落ちて来るアユを竹組みのヤナの上で捕らえます

 鮎は中・下流で産卵して親は死に、孵化した稚魚は海で越冬して春先に川へ上りますが、河川の河口には河口堰が作られたために、鮎などの魚の生態系への影響が問題になっています
  少し前までは琵琶湖産のコアユを全国の川に放流していました
  しかし身体に穴が開く冷水病菌を保菌している疑いがあるために、岐阜県の場合は岐阜県河川研究所で受精させて稚魚をある程度の大きさまで育ててから河川に放流します
 雌鮎の成魚は卵を抱くので商品価値が高いため、全て雌鮎に変える技術であるバイオテクノロジーを利用して、民間の養魚場には雌鮎の稚魚を提供しているようです


   養魚場には、一つの池にたくさん飼っており様々な病気が出ます
本来ならば抗生物質を投与すれば、ある程度の治療もまた予防も出来るはずです
  しかし内臓まで食べるために、それらの薬物が私達に影響を与える可能性が十分あります。そのため無難な塩を池に投与してやるのです
  うなぎの時は粉砕塩を投入しましたが、鮎の養殖池にはイオン交換膜利用の並塩を投入してやります
  粉砕塩を池に投入すると、塩に含まれている泥などで養殖池に泡が出て水が濁ります。うなぎはデリケートな魚ではありませんから、塩や餌などで池の水が濁ろうがうなぎはあまり気にしません
  でも鮎は水が澄む清流しか生息できませんので、粉砕塩では池の水が濁るので好ましくありません
。並塩ならば水は濁りませんので鮎が生息することが出来るのです
  また餌などでも水が濁りますので、鮎の養殖には大量の井戸水を必用としています

                         前のページ 次のページ