第六章 塩を上手に選ぶには 613

   鉄(Fe)について
  鉄分は日本人には不足しやすいミネラルの一つと言われています
  しかし鉄分が不足している人のほとんどはダイエットに挑戦中の女性とか、朝食を抜く人達などであることが分かっています。普通の食事さえしていれば余り不足しないミネラルなのです
  塩に含まれる鉄分の多くは海水のひどい汚れか、製塩装置からの溶出か、不適当な岩塩層からの採取によるものが多いようです
  「市販食塩の品質」に記載されている塩製品の中には鉄分を添加した塩もあります


   さてこの鉄分には二種類あり、動物性食品の例えばレバーや鶏肉などの鉄分をヘム鉄と呼び、体内での吸収効率が2030%近くあります
  しかし穀類、大豆製品などの植物性食品に含まれる鉄分は非ヘム鉄で、吸収効率は
5%ほどしかありません。でもビタミンCや他のたんぱく質との食べ合わせで、吸収効率を高めることができます
  鉄分の極端の摂取は、欠乏症以外の人は注意する必要があると言われています。アメリカでは鉄分によって腸内感染を引き起こしたり、心臓病や脳卒中を引き起こしたりする危険性を指摘する医者もいるようです
  日本調理科学会の「市販食塩の品質」によりますと、測定下限値を上回る製品が
135点中97点ありました

 

   銅(Cu)について
  銅は人の身体に微量必要なミネラルで、不足しがちな微量ミネラルと言われています
  でも三度の食事をきちんと取れば間違いなく摂取できる量ですので、塩には必要ないミネラルです
  銅中毒は激しい嘔吐、腹痛、胸部灼熱感、下痢が見られ、すぐに黄疸が現れ、肝臓の壊死がはじまります。また腎障害から尿毒症を起こして、昏睡状態になって死に至ります
  銅は熱を伝えやすくて耐蝕性に優れて加工しやすいために、製塩装置によく使われる金属のために、銅が溶出した製品が見られます
  日本調理科学会の「市販食塩の品質」によりますと、
135点中16点が測定下限を上回っています。コーデックス食用塩規格(2 mg/Kg)を上回る製品はありませんでした

黄疸・・・肝臓病のため皮膚や粘膜が黄色くなる 

 

   亜鉛(Zn)について
 私は亜鉛から連想するものはミネラルよりも、粗末な小屋の屋根や壁に打ち付けてあるトタン板を想像してしまいます
  ブリキは薄い鉄鋼板にスズをメッキしたものですが、トタンは薄い鉄鋼板に亜鉛をメッキしたものです。今でも農作業所や工場などの建物や塀にはトタンが多く使われています
  亜鉛不足は味覚障害を起こすと言われています。しかし三度の食事を抜かないで、いろいろな食品さえ摂取していれば必ず摂取できるミネラルです
  亜鉛などの微量ミネラルは海水中にはあまり含まれていません。塩の成分分析で測定されるほど含まれた塩は失格だとも言われています
  過剰症としては嘔吐、下痢、肺の衰弱、高熱、悪寒、免疫力の低下などがあります
  日本調理科学会の「市販食塩の品質」によりますと、測定下限値を上回る製品が
135点中63点ありました(中には61 mg/Kgもある製品もある)

 

  カドミウム(Cd)について

  岐阜県の三井金属鉱業神岡鉱業所は東洋一の鉱山と称され、主に亜鉛鉱を採掘していました。しかし亜鉛鉱の産出に伴ってカドミウムが少量産出されるのです
  神岡鉱山はカドミウムを含んだ鉱排水を、神通川に長期間に渡って垂れ流しました。その結果下流域の米、野菜、魚類、飲料水などは高濃度のカドミウムに汚染されたのでした

 

                          前のページ 次のページ