第六章 塩を上手に選ぶには 631

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   このように料理や材料によって、塩の使い勝手が違うのは当たり前のことで、食塩が全て使いやすいとは限りません
  家庭ではいろいろなタイプの塩を買い置いて調理によって使い分ける、これが料理に於ける使い勝手ではないでしょうか


第三節 塩と値段

 市場には現在2000種類以上の塩が氾濫しています。値段で考えますと、食塩1kg107円ですが、50倍以上の5000円もする塩も珍しくありません
  塩の値段が高いと
マスコミは「料理に使うと材料の旨みを引き出す」とか、「ミネラル豊富」とか、「安全な塩」とか放送したりするからです
 でもその通りならばよいのですが・・・

   日本では軽自動車は100万円ほどしますが、その50倍もする車はほとんど販売されていません。しかし10倍する1000万円の車は販売されています
  軽と比較しますとエンジン能力は静かで、排気量も大きく勝ります。車体の外見は大きくて堅牢でスタイルもよく、車内は広くて豪華で重厚でシートは皮張りで、おまけにフル装備の至れり尽くせりです。軽とは雲泥の差があります
  でも塩は
50倍以上の価格差があっても、共に料理に使うもので、含まれている成分もほとんど変わりません。大きな違いは塩のネーミングとパッケージぐらいでしょう

 
食塩から連想できるのは化学塩ですし、パッケージも無味乾燥です
  しかし自然塩の多くはいろいろな山や海の地名がつけられており、名前だけでもいろいろと連想ができて楽しむことができます
  それだけではありません、パッケージも大変カラフルで、中にはきれいな南国の海や世界の山々がプリントされているのもあります
  これらパッケージをみるだけでも心が和み、塩を選ぶ楽しさやそして面倒だった食事作りまでが楽しくなり、おまけに食べる楽しさまで伝わってきそうです。値段の高い自然塩でも一日当たりわずか40円弱(四人家族)で、ちょっとした贅沢感まで味わうことが出来ます


  しかし安い価格の塩にこだわるなら食塩か、中国産の塩です。安全性を加味すると食塩が選ばれ、単純な値段比較なら中国産の塩です
  この本ではイオン交換膜を利用した塩以外は自然塩と呼んでいますから、値段では自然塩に軍配が上がります。しかし塩は他の食品と違って安ければ、私達が飛びつくとは限りません。化粧品と同じようにブランド志向が大変強いのは、永年に渡る自然塩側の営業努力の賜物なのでしょう
  「値段が高い塩はよい製品」と信じる人達には噴霧製塩、いわゆる自然塩、フランス産などの天日塩が選ばれます。これらの塩をいろいろな料理人たちが推薦していますので、たとえ料理の腕が悪くても「塩が料理の手助けしてくれる」と信じている人も多いようです

 

第四節 塩は海の宝石  

 先人たちは塩を求めるために、大変苦労したことについてはお話しした通りです
  しかし現在の私たちは、いつでもどこでも塩を簡単に手に入れることが出来ますので、塩のありがたみをまったく知りません。塩は空気、水、太陽と同様に人間が生きていくためには、欠くことが出来ない物質なのです


  空気の有り難みは誰もが理解出来ます。でも水は文明が進んだ昨今、喉が渇けば蛇口を捻ると水が出るのは当たり前のことです。しかし梅雨時期に雨が、また冬に雪が降らないと貯水池が干上がり、真夏に水が不足します。給水制限が続き風呂の水どころか、飲み水でさえ確保することが難しい地域も出てくるのです
  太陽の有難味と言えば真冬の暖かい日差しに尽きますが、逆に夏に猛暑が続くと、太陽の顔を見るのも嫌になります。でも冷夏が続きますと、野菜や果物おまけに米の収穫量まで大きな影響を受けます。このように身の回りに何か事件が起きないと、水や太陽のありがたみについてもついつい忘れがちになります

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