第六章 塩を上手に選ぶには 641

   私たちは毎日食べる主食の米に飽きますと麦食にしたり、パン食にしたり、そばやうどんなどの麺に変えることがよくあります
  また塩と同じ調味料に白砂糖がありますが、白砂糖が嫌なら、三温糖や黒砂糖もあります。砂糖の味そのものに嫌気がさしたら、蜂蜜やサッカリンやステビアなどの他の甘味料にすることも可能です
  しかし塩に代わるものは何もありません。塩は調味料としての価値やミネラルばかりに目が奪われがちですが、最低量を摂取しないと、動物は生きていくことは出来ない海からの
宝石なのです


  食塩をイオン交換膜製法に転換したときに、国は日本の塩田塩を一切認めませんでした。すなわち自然塩の存在を否定したために血で血を洗う、いや塩を塩で洗う壮烈な戦いとなったわけです
  この戦争は自然塩側の一方的な攻めの戦いのように見えたのは、イオン交換膜派の意見や中立派の意見をマスコミなどがほとんど取り上げなかったからです
  テレビ、新聞、雑誌などはサプライズ的な情報、物珍しい情報、インパクトある情報、意外性のある情報、健康志向的な情報を発信しなければ視聴率を稼げませんし、雑誌などは部数を伸ばすことが出来ません
  自然塩業者側が提供する情報の多くが、これらの条件にぴったりと当てはまったのです
  マスコミなどが垂れ流したこれらの情報が、一部の人に大きく影響を与えて、自然塩信仰なるものを芽生えさせたのです
  数年前まで、私はいろいろな団体で塩や漬物に関してお話しする機会をもっていました。中には「自分たちが使っている塩は、ミネラルを多く含むので身体によく、生活習慣病などの予防もする。しかし他の塩は、特に食塩などは身体に害しか与えない」と言い、私の話には全く耳を貸さない団体もありました
  ここまでくると塩選びは宗教と同じで、よい塩と信じると他の塩を排除してしまう傾向があるようです

 この塩の戦いである自然塩運動も、はじめは純然たる「生命維持に関る基本食料の選択の自由を奪う」を旗印にする政府に対する抗議運動でした

 

  「昔のような、しっとりとべたつく塩が欲しい」とか「塩田を残して、塩田塩を販売して欲しい」とか「人体への影響が分かっていないイオン塩(イオン交換膜を利用した塩の事)摂取は危険」であるとか主張していました
 でもいつの間にか自然塩運動の中で自分たちの塩を作って売ろうとする考えの
商業主義が台頭するようになったのです。専売法で守られた食塩 
の、シェアーを奪い取るための戦争へと変わっていったわけです
  食用塩調査会を中心とする学者たちも自然塩運動に加わるようになり、自然塩派を支持する人たちは塩についていろいろな知識を彼らから得て、理論的にも武装ができるようになったのです
  しかし学者の中にはイオン交換膜を利用した塩を、意図的に化学塩とか科学塩と呼んだりして、
食塩が化学的に合成して出来た塩のようにいいふらした人もいたのです

  これは私達の塩の知識が無いことを見透かし、また科学の基礎知識が希薄なことを知っていて、誤解することを目的として化学塩と言い出したのではないでしょうか
  そして自分達が支持する塩を、天然塩、自然塩、自然海塩と美化して称したのです。でも
自然塩なる言葉は大変妙を得ており、純粋無垢で安心して摂取ができる美味しい塩のイメージを私達に与えたのでした

科学塩・・・「食塩」などのイオン交換膜塩の事で、化学塩、精製塩、工業塩とも呼ばれることがある
 

さて塩においてミネラルの話題は欠かせません
厚生労働省は日本人のカルシウム、カリウムの摂取不足をよく指摘しています
  一部の自然塩学者の中には「ニガリが多く含む
自然塩を摂取すれば事足りる」と言います。塩の中のミネラルの多い、また少ないも自然塩と食塩との対立点でもあるわけです


 表3-3参照を見て頂きましょう。食塩は市販されている自然塩グループの再製天日塩や輸入塩などと比較しても、ミネラル量はほとんど変わりません
  しかし市販されている塩の中にはミネラル量に大きな違いがある塩もあるのは前述したとおりです。その際だった違いが身体に役立つミネラル、すなわちマグネシウムとカリウムの含有量です
  特殊な製法で作られた塩で一日
10g摂取するとマグネシウムの一日の所要量の360mgが摂取できます。塩からのミネラル摂取を考えならば、自然塩擁護の学者や医学者たちのお勧めの自然塩はもちろん他の塩も一切いらなくなります

 

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