第六章 塩を上手に選ぶには 643

  この競争規約では定義付けしてありませんが、料理雑誌や料理番組などのレシピに十年ほど前から食塩、精製塩、塩にかわり、粗塩なる言葉がよく使われるようになりました
  これは自然塩業者の抗議などにより、料理のレシピでの塩の呼び方を変えたからです

  聡い自然塩業者などはそれに便乗したために、粗塩と称した製品が何種類か販売されています
  でも再製天日塩メーカーなどが粗塩と製品のパッケージに表示するのは、本来の粗塩の意味を逸脱している様な気がしてなりません。粗塩は「結晶があらい、精製していない塩」と広辞苑などで定義されています
  この定義に反して「粗塩」
(○○タイプ)と表示してある製品の多くは、天日塩を海水に溶かして精製、そして釜で煮詰め直したものです。中にはニガリを加えて結晶を荒くした塩を粗塩と表示して販売しているものもあるようです
 粗塩と表示出来るのは「いわゆる自然塩」や、粉砕以外の何も加工がしていない天日塩や岩塩しか、表示できないのではないでしょうか
  再製天日塩やイオン交換膜などの表示は塩の知識がない私たちにとっては、他の塩より優良と思わせる優良誤認の疑いがあると思いますが・・・


 それ以外に工程用語の天日の定義もおかしなものです。食用塩公正取引協議会が定めた用語では「天日・・・塩田、流下盤、枝条架、ネットなど自然な力を利用して蒸発させ、塩を結晶化したり、海水を濃縮したりする操作です」とあります
  天日は太陽の事ですが、塩田や流下盤は太陽と風の力を利用して海水を蒸発したり、濃い海水を作ったりしますので何も問題はありません
  しかし枝条架、ネットなどは太陽の力などをほとんど利用しないで、風の力を主に利用して濃い海水を作ります。ですから枝条架、ネットまでの製造工程を天日とするのは問題があります
  私たちは「原料に何が使われているか」、「工程はどうなっているのか」が気になるのですから「ネットなど利用
(ネット)」と表示すべきでしょう。もし竹の枝条架で製塩しているなら「ネットなど利用()」「枝条架()」と表示すればよいはずです

 

 しかし塩の用語や製造方法などの定めて公正規約を作っただけでは、消費者保護が完全とは言えません。安全で安心な塩を選ぶためには、塩の規格がどうしても必用となってきます
  私たちは塩について
あまり詳しくありませんし、製造現場を見ることも出来ません。また塩の安全性をチェックすることも出来ないのです
  まして塩を管理する財務省はただ塩の卸売業者などの参入を認可するだけで、製造現場視察もしなければ、製品のチェックさえしませんので、まったくあてには出来ません

  もし塩の規格があれば、そして表示が正しければ、ある程度安心して塩を選ぶことが可能になります。衛生的で安全・安心な塩を私達に提供するためにも、早期に塩の規格を制定することを熱望したいものです
  方法としては現在ある日本で唯一の塩の自主規格である「食用塩の安全衛生ガイドライン」を規格にするか、「コーデックス食用塩規格」を受諾すればよいでしょう
  それ以外に外国では塩は添加物扱いですので、日本も同じように添加物に準ずれば、安全・安心で高品質な塩を私たちに提供出来ると思われます
  これらの規格にパスするには、熟練した製塩技術が必要となってきます。それゆえ塩業者の一部からは、塩の規格作りに反対や抵抗する人が多く出ると思われます
  でも規格制定が消費者の保護に、また塩作りの技術向上にも大きく繋がるはずです。早急に世界に準拠した塩の規格作りを検討してもらいたいものです


   そして塩の安全性については、塩の分析を海水研(海水総合研究所)に年に数度依頼することを義務づける必要もあります
  他の分析機関では製塩メーカーの依頼した成分しか分析をしませんので、都合の悪い成分は分析しなかったり、隠したりして、素知らぬ顔するメーカーも出てくるはずです
  財務省または塩公正競争協議会は塩の製造・加工・輸入業者から供託金を預かり、そのお金を利用して海水研が、市場などからいろいろな方法で塩を買い求めます。それらの塩を分析調査して、その結果をインターネットなどで公表するのが一番良い方法ではないでしょうか
(ニガリも同様)


 さて最後になりましたが、簡単な上手な塩の選び方についてお話ししましょう
  もっともシンプルな塩の選び方は、パッケ‐ジの中身の塩の色が白いことが大切です

 

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