第四章 自然塩 正体見たり 不純物  422

   また根拠がない限り、他の塩との優位を表すようなキャッチフレーズの使用もまかりならぬとも決めたたわけです
  それに対してある離島のいわゆる自然塩のメーカーなどは「塩が専売だったときから我々の塩を消費者は自然塩、天然塩と呼んで認知していた
  パッケージに自然塩、天然塩、自然海塩として表示して販売しても、監督官庁からは何のお咎めもなかった。それを今更違法とはおかしい!
  消費者が自然塩、天然塩を認知支持しているのだから、表示しても何も問題はないのではないか。これが消費者の要望だ」と不満を露わにしていました


    イオン交換膜製法に食塩が転換してから直ぐに自称自然塩なる製品が現れ、専売制の末期頃から自然塩とか天然塩などと称する塩が市場に溢れていました
  大蔵省
(財務省)などが、これら自然塩の製造販売を黙認いや追認していたと多くの人は思っていたくらいでした
  大手自然塩業者にしてみれば三十年あまりかけて、自分たちの塩を自然塩、天然塩、自然海塩として私達に流布・認知させる努力をしてきたわけです
  急にパッケージに自然塩などを使用することが出来なくなるのは、それまでの営業努力がすべて水の泡のごとく消えてしまいますの、怒り心頭の気持ちはよく理解できます

 経過措置・・平成93月に塩の専売法が廃止されましたが、急激な変化をともなうと塩の流通や販売に支障を起こす恐れがあるので、平成143月までは塩にある程度の規制をかけていた

 塩の経過措置中、高知県の輸入業者がベトナム塩を「高知の塩」として販売していたことが発覚、この業者に対して公正取引委員会は製品の排除命令を出しました
  また別の和歌山の業者は中国産の塩をオーストラリア産と称して販売しましたが、摘発を免れて市場に流れたようです
  この製品は中国でパッケージまで印刷して、そして製品化して日本へ輸出したものです。原材料の表示の欄では中国産塩をオーストラリアの有名な塩田であるダンビア産と表示してありました
  私たちが中国塩よりオーストラリア塩の方が、品質が良くて安全であることを知っているから、産地偽装をしたのだと思われます
  これら高知や和歌山の偽装行為の摘発や発覚は氷山の一角だとも言われており、専売廃止直後は偽装表示の百花繚乱いや、百悪狂乱の世界でもあったのです

  そして沖縄などの大手再製天日塩メーカーなどが、「他の製品より著しく
 優秀である表示」、「商品の品質や規格が実際の商品より著しく優良である表示」の規定である景品表示法の優良誤認による警告処分を、公正取引委員会から受けたことがありました


兵庫県の業者は「赤穂の海水を使って塩を作った」と表示をしながら、実は「外国産の天日塩を溶解・洗浄して煮詰め、それに国産のニガリを入れた」塩でした
   愛媛県の大手再製天日塩メーカーの場合は「輸入塩を日本の海水で溶かし、原料としてつくった」の表示ラベルがビンから欠落したために、瀬戸内海の海水だけの原料で生産しているようにとれる優良誤認でした

   沖縄の大手再製天日塩メーカーは、神奈川県の二社から製造委託を受けた製品が警告処分を受けたのです。製品のパッケージでは「沖縄の海水を薪の炎で煮詰めて塩を作った(海水蒸発塩)」と表示していたのです
  実際は「輸入の天日塩を海水で溶いて、重油バーナーで煮詰めた」ウソのだらけの塩を販売していたというものでした。この会社は神奈川県の業者以外に、自社と生協向けの海水蒸発塩を作っていたようです。自社製品と生協から委託を受けて製造した海水蒸発塩のパッケージには「沖縄の海水を重油バーナーで煮詰めて作った」と正しく表示をしていたそうです
(第二章第三節3参照)


 別の沖縄の再製天日塩メーカーも「沖縄の海水を薪の炎で煮詰めて塩を作った」と表示しながら、その実は「輸入天日塩を煮詰めた」ウソだらけの塩を販売していたというものでした
 また他の沖縄の自然塩メーカーは「沖縄で採取された海洋深層水のみで製造した塩」のように表示をしていましたが、実際は「外国産の天日塩を沖縄の深層水に溶解して再製加工した」ものでした

  警告を受けたメーカー側もさぞかしびっくりしたことでしょう。塩の専売制の頃はもちろん、専売廃止後も公正取引委員会による指導を受けた話はたまにはありました
  しかしいきなりの大量の業者の優良誤認による警告でした。警告を受けたメーカーにしてみれば青天の霹靂であったでしょうし、他の業者は戦々恐々の状態だったと思われます
  この公正取引委員会の警告措置はあまりにも片手落ち、このような優良誤認違反の商品は塩では当時珍しくありませんでしたし、処分の甘さも目立ちました

海水蒸発塩・・・重油バーナーなどで海水を炊き上げて、そのまま煮詰めて作る塩 

 

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